CD「沖縄の魂の行方」制作に御協力いただいた琉球古典音楽の演奏家であり現在、沖縄県立芸術大学、大学院助教授の大湾清之氏の著書をご紹介します。近藤等則氏主演のドイツ映画 “The Great-grandson of the man who drank a cow” (監督:トーマス・ステイラー、日本未公開)の沖縄ロケでは琉球民謡を嘉手苅林昌さん(CDの 12 番)、琉球古典音楽を大湾清之氏と共演しました(於:宜野湾市佐喜真美術館)。これは本CDには未収録ですが「ライブ映像」のページでご覧いただけます。

大湾清之著『琉球古典音楽の表層−様式と理論−
(B5判変型、上製本仕上げ、512p)
発行:2002年(平成14年)11月
定価:5,000円 税込み:5,250円 送料340円

(案内)沖縄タイムス 2003年1月11日付書評の一部

本書は基本的には歌三線の演奏家に向けた専門書であって、工工四が読めて三線を弾ける人でないと理解は難しい。しかし逆に、歌三線を芸の道として進んでいきたい人には是非とも読んでいただきたい。楽譜に書いてあることを筋道だてて読み解くことが、演奏の伝承を守っていくうえでいかに大切であるかを痛切に感じさせる名著である。(金城厚・沖縄県立芸術大学教授、琉球新報 2002年12月29日付け書評の一部)

本書には琉球古典音楽史においても画期的ともいえる貴重な発見があって読みごたえがあるが、琉球古典音楽の様式・理論に関する基本的な、そして重要な問題が丁寧に解説されている文章を読む楽しみもある。多くの示唆を受けるからである。

実演家としても優れた著者が古典の歌三線を愛する魂を第一義的に考えて論を進めているところが良い。「琉球古典音楽」の太い根をしっかりと踏まえたうえで枝葉(たとえば流派)の問題を論じているところが信頼できる。古典音楽の「表層」(理論や形式)は、「深層」(精神)あってのものであることを知った人の本だから豊かさがある。だが、著者の大切なメッセージを血肉にするためには、三線を手元においてじっくりと本書を読み解く努力も必要だろう。琉球古典音楽の本質を振り返るための待望の本といえる。(勝連繁雄・野村流古典音楽保存会師範、沖縄タイムス2003年1月11日付書評の一部)


【著者紹介】

大湾清之(おおわん きよゆき)
・1946年沖縄県読谷村に生まれる。
・1965年沖縄工業高等学校建築家卒業。
・1967年沖縄電気通信専門学校卒業。琉球電信電話公社、文教楽器株式会社、青い海出版社に勤務。現在、沖縄県立芸術大学、大学院助教授。
・国指定重要無形文化財組踊保存会会員、沖縄県指定無形文化財沖縄伝統舞踏保存会会員、沖縄県指定無形文化財沖縄伝統音楽安冨祖流保存会会員。

著書・論文

『沖縄の笛』(1983年、沖縄芸研)、琉球古典音楽の基礎資料に関する研究(1995年『読谷村立歴史民族資料館紀要』第19号)、琉球古典音楽のウタムチの研究(1996年、同20号)、歌い出しの原則(1997年、同21号)、旋律(フシ)のめぐりかた(1998年、同22号)、冨原守清著『琉球古典音楽孝』の研究(1999年、同23号)

<目次>
序章   ・・・・・・・・・・まえがき
この本の内容 三線音楽の発生時期とそのうつりかわり 琉球古典音楽の流派とその伝承について

•  工工四の沿革
はじめに・・・・・・・・
一、  屋嘉比工工四 (1)屋嘉比朝寄について (2)屋嘉比工工四について (3)屋嘉比工工四の特徴 (4)楽曲の題名について (5)ウタムチについて
二、知念工工四 (1)知念績高について (2)前人達による知念工工四の譜面についての著述 (3)知念績高の改革
三、安冨祖工工四 (1)安冨祖正元について (2)前人達の著述による、安冨祖工工四の特徴
四、沖縄県立博物館所蔵(伝)知念工工四 (伝)知念工工四が野村安趙の著作である根拠
五、野村工工四 喜舎場朝賢の著述による、野村工工四改訂の経緯 第一回目の改訂・第二回目の改 第三回目の改訂
六 、俗風工工四  俗風工工四 の目次
七、安室工工四 (1)安室朝持について (2)安室工工四の特徴 (3)野村工工四との相違点
八、流派について
九、声楽譜付工工四 (1)声 楽譜について (2)声楽譜の意義
第一章のまとめ

第二章 ウタムチ
はじめに・・・・・・・・
一、前ウタムチ(前奏)の改訂 (1)カギヤデ風節、中城ハンタ前節、平敷節、 クニヤ節、辺野喜節、坂本節などの場合
(2)オホンシャレ節の場合 (3)金武節の場合・・・その1 (4)真福地之ハイチヤウ節の場合 (5)コティ節の場合 (6)恩納節の場合 (7)仲村渠節の場合 (8)金武節の場合・・・その2 (9)芋之葉節の場合 ( 10 )十七八節の場合 ( 11 )諸屯節の場合 ( 12 )暁節の場合
二、前ウタムチの概念 (1)導入部としての概念はあいまいである (2)歌い出しの旋律または音高を誘導するという概念 (3)前ウタムチと後ウタムチを同じ形式にするという概念
三、前ウタムチのまとめ
四、後ウタムチ(後奏)の改訂 (1)伊集早作田節の場合 (2)出砂節の場合 (3)ヂヤンナ節の場合 (4)安冨祖流本調子術懐節の場合 (5)金武節の場合
五、後ウタムチの概念
六、楽曲の終止方法
七、後ウタムチのまとめ
第二章のまとめ

第三章 歌いだし
はじめに・・・・・・・・
一、歌い出しの旋律と仮名付けの関係について
二、歌い出しの運用規則 (1)運用規則 ?−1 (2)運用規則 ?−2 (3)運用規則 ?−1 (4)運用規則 ?−2 (5)運用規則 ? (6)運用規則 ? (7)運用規則 ?
三、歌い出しの運用規則まとめ
四、工工四の検証 (1)大兼久節の場合 (2)首里節の場合 (3)辺野喜節と坂本節の場合 (4)花風節の場合 (5)昔蝶節の場合
五、『聲楽譜附工工四』の検証 (1)踊クハデサ節の場合 (2)中作田節の場合 (3)湊原節(港原節)の場合 (4)中城ハンタ前節と石ン根ノ道節の場合 (5)諸屯節の場合 (6)長ヂャンナ節の場合 (7)仲節の場合 (8)白瀬走川節の場合 (9)出砂節の場合 ( 10 )本田名節の場合 ( 11 )天川節の場合
第三章のまとめ

第四章 音階と旋律
はじめに・・・・・・・
一、音階 (1)各種の調弦と音階 (2)琉球音階について (3)旋律と音階に関する研究と問題点 (4)箏曲の調弦と演奏される曲節の音階とは必ずしも一致しない
二、音程 (1)琉球古典音楽における音程 (2)可変的な音程
三、旋律の跳躍 (1)旋律の運動性 (2)「ケーイグシ」への疑問 (3)音階を跳躍させる技巧的フシと声切 (4)声切の意味
四、楽節の歌い出し
五、基礎資料としての楽曲の分類 (1)基本音階 (2)使用音階による楽曲の分類 (3)終止音による楽曲の分類 (4)開始音と終止音による楽曲の分類 (5)音域による楽曲の分類
第四章のまとめ

第五章 冨原守清著『琉球音楽考』の研究
はじめに・・・・・・・・
一、琉球古典音楽における拍子の考え方
二、「吟の開きと吟の平カシについて」
三、「修飾吟の種類」について
四、「修飾吟の種類」のまとめ
五、「絃の原則的取り扱い」について
六、「絃の原則的取り扱い」の応用 (1)安冨祖流工工四「むんじゅる節」の誤り (2)恩納節の抑えばねと金武節の張り抑え吟 (3)被り吟と居し吟の組み合わせによる旋律型 (4)被り吟の確定 (5)開き吟と抜き吟の確定 (6)昔蝶節における例外的運用について
七、「絃の原則的取り扱い」のまとめ
八、「仮名付の事」について
第五章のまとめ

終章
あとがき

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